1月 2019アーカイブ

示談交渉を始めるタイミング

事故の損害賠償は示談で解決が9割

交通事故で当事者に損失が生じた場合、賠償請求が必要になりますが、最もポピュラーな解決方法は、加害者と被害者が互いに話し合って合意する示談です。
交通事故のおおむね90パーセントは示談で解決すると言われるほどで、長い時間やコストが必要な調停や裁判という方法はあまり活用されません。
可能な限り、事故当事者双方が納得出来る内容で、示談を成立させることが望ましいと言えます。

示談交渉は事故発生直後から開始出来る

示談は、事故発生後いつからでもスタートする事が出来、事故現場で賠償金額の合意が出来て口頭で約束した場合でさえ、示談の成立が認定されるケースもあります。

しかし、チョットした事故のケースでも、発生時に感じなかった痛みや症状が時間の経過とともに出てきたり、予想以上の治療費が発生したりするケースがありますので、その場で示談交渉の合意に至るのは好ましくありません。
一旦示談が成立したと認定されれば、事情が変わったからと言って、内容を変更したりリセットしたりすることは極めて困難です。

ケガを負った場合は治療終了後に交渉をスタート

被害者が請求する損害賠償金は、ケガによる治療費や薬品代に加えて通院に要したタクシー代など交通費も対象に含まれます。
ケガが完治するまでは医療費を含む賠償金額が確定しませんので、ケガが完治したのち示談交渉をスタートさせるのがベストです。
また、事故とケガの因果関係を明確にするため事故後時間を置かずに病院で診察を受け、交通事故を起因とするケガであると診断してもらい、完治するまで通院することがポイントです。

後遺障害が残るケースは症状固定のタイミングで示談スタート

被害者が重大なケガを負った事故のケースでは、示談交渉スタートのタイミングは症状固定の時がベストです。
ケガの治療期間が長くなると、相手側の保険担当者から、早く示談交渉をスタートさせたいと連絡が来る事があります。

しかし慌てる事無く治療を続けて、これ以上は治癒が見込めないというタイミングで後遺障害が確定されるので、担当の医師と相談のうえで症状固定を行い、示談交渉をスタートさせます。

相手の言うままに慌てて示談をスタートした場合、示談成立後にほかの後遺障害が診断されて、対象外となる可能性があるのです。
一般的なケガのケースでは事故発生の後約半年程度で医師に症状固定が認定されると言われます。

症状固定の意味

症状固定とは、さらに治療を継続しても回復が期待できないタイミングを言います。
これは医学用語ではなく、損害賠償の世界で使われる用語です。
医学的には、ケガの症状がなくなるまで治療を継続すべきですが、一定の時期に損害賠償金額を確定しないと、加害者にとっても被害者にとっても不安定で心労が募るだけです。

そこで一定の時期に症状固定を行い、以降の治療費などは後遺障害として逸失利益などを算定して、賠償金額の支払いを行った方が合理性があるとの理論によるものです。