示談で合意に至らなかった場合はどうなるの?
賠償額を取り決める示談交渉
事故が起きたら、事後の解決のため通常は当事者間または保険会社が入り、賠償金の査定に関する合意に至る交渉つまり示談が行われます。
発生した交通事故のおおむね90パーセントは示談で解決されています。
交通事故後の示談では、加害者サイドが被害者サイドに、事故の発生により失った人的・物的な損失を経済的にお金で賠償する話し合いです。
示談には期限がある
示談交渉自体はじっくりと時間をかけて納得いく賠償を受けるべきですが、時間をかけ過ぎると請求権自体がなくなります。
注意が必要なのは権利行使に期限が定められることで、民法上の損害賠償請求権は3年という時効が定められ、損害の事実と加害者を認識してから3年間これを行使しないとなくなると定めています。
また、加害者側から保険会社に対する権利行使期限も同じく3年です。
ただし任意保険は商品により異なるケースがあるため、行使期限が来る前に確認しましょう。
一般的には運転者側は事故後速やかに保険会社へ連絡しますので、あまり意識する事はないと思われます。
ところが、被害者サイドは、自然に3年で請求権が失われてしまいますので、必ず3年の期限を強く意識しておく必要があります。
示談で解決しなければ調停や裁判
示談で解決しないケースでは、第三者に仲介を依頼することになり、調停や裁判に訴えるという手段があります。
通常のケースでは示談がまとまらなかったら調停を選びます。
調停は、裁判官を含む委員会メンバーが双方から聞き取り、損害賠償の妥協案を示す制度で、裁判所がリードして損害賠償交渉を進めてくれます。
調停を飛び越して裁判へ持ち込む方法もあるのですが、解決までに長い時間と弁護士費用など訴訟コストもかかりますのでコストが安く上がる調停を選ぶ方が多いのです。
調停の手続きは自分で裁判所に行き調停の申し立てを行うのですが、初めての方は弁護士事務所に相談するとよいでしょう。
調停に移行した方がベターな場面
1.事故当事者による交渉が平行線をたどり各条件でまとまる見込みがなかったり、長期化して自身の新たな出発の障害となり解決のめどが立たなかったりする場合。
2.相手方が弁護士を立てるなどして交渉力が高度で当方に不利な条件で示談をまとめざるを得なくなりそうな場合や正面から交渉するのが怖い相手の場合。
3. 調停の結果は、裁判における判決と同様に、加害者に対して強制執行力があるため、相手に損害賠償を完遂する意思や資力が十分ではないと見込まれる場合。
4. 示談交渉は法的には期限が定められておらず、相手が示談内容や条件に合意したくないケースではズルズルと長引かせること出来るため相手側に圧力をかけたい場合。